2016.03.01
電化厨房におけるレンジフードの調理生成物に対する捕集率測定方法の提案
電化厨房では燃焼廃ガスが発生しないため、調理によって発生する水蒸気や湯気、油煙や油滴、及び食材から発生するその他のガス状物質(以降、調理生成物と記す)に対する捕集性能を換気装置の性能として評価すべきである。しかし、厨房用換気装置の排気中において、これら物質の濃度を測定する方法がない、あるいは測定精度が極めて低いと考えられていたため、電化厨房における排気フードの「捕集効率」の把握には、一部の研究を除いて、捕集すべき物質そのものではない「トレーサーガスの捕集率」が用いられてきた。トレーサーガスの捕集率が調理生成物の捕集率と同等であるためには、トレーサーガスが調理生成物と同様な挙動をしなければならない。しかし、代表的な調理生成物である水分と油分は、いずれも、調理に伴い蒸気とミストの両方が発生し、フードに向かって上昇する過程で、蒸気が凝集してミストに、または、逆にミストが蒸発して蒸気になるなど、風速や温度などの諸条件によって複雑な相変化を起こしている可能性が高く、トレーサーガスの挙動とは異なっている可能性がある。そこで、電化厨房における調理生成物の主要な成分である水蒸気及び水ミストに着目し、二相水分の捕集率を直接測定する十分な精度を持つ方法を開発した。二相水分法による捕集率測定とトレーサーガス法による捕集率の測定を同時に実施し、両者の測定結果を比較検討することにより、調理生成物の捕集性能を把握する手法として、二相水分法が妥当であることを明らかにした。